「ママチャリ誕生以前 昭和30年代初頭における女性を取り巻く状況」
写真1や写真2のように昭和20年代までの女性用自転車は重心が高く、重さも22~23キロと重く、現代のママチャリとは全く違うものでした。
このため、昭和31年における女性の自転車に乗ることのできる割合は10代後半で75%、20代前半で68%を示していますが、年代が上昇するに伴ってその割合は低下し、40代では男性の95%に対して女性は18%に過ぎなくなっていました(表1)。さらに、自転車に乗れても実際に利用している女性は男性の半分にも満たない25%で、主婦は20%に留まっています。しかし、そのうちの55~85%、主婦の70~80%が買い物用として利用しています。また、自転車を持っている世帯の割合は50~80%を示しているのに対して、その中における女性用車の所有率は最高でも20%を越える地域はなく、全国平均で8.4%ですが、自転車保有世帯の割合が高い愛知や広島などの地域は女性用車の割合が他の地域よりも高い傾向を示していました(表2)。保有する自転車の車種は実用車、軽快車は地域差がないため、女性用車の保有する割合の差が保有世帯数の割合を高め、30代以降の女性の乗れる割合を高めているといえます。 |
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写真1 冨士覇王号 (昭和5年頃) |
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写真2 大利根号 (昭和24年頃) |
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表1 昭和31年度における性別年代別自転車の乗れ
る割合 |
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岩手 |
東京 |
愛知 |
京都 |
広島 |
福岡 |
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女 |
男 |
女 |
男 |
女 |
男 |
女 |
男 |
女 |
男 |
女 |
男 |
15~19才 |
78.3 |
96.6 |
68.6 |
100 |
84.2 |
90.9 |
74.0 |
94.5 |
86.2 |
97.5 |
61.5 |
100 |
20~24才 |
61.8 |
96.2 |
70.3 |
97.1 |
82.8 |
97.6 |
72.1 |
95.8 |
78.3 |
94.4 |
41.5 |
98.1 |
25~29才 |
49.3 |
93.3 |
56.1 |
96.8 |
80.8 |
97.7 |
56.6 |
100 |
55.6 |
98.1 |
29.3 |
97.6 |
30~34才 |
39.1 |
95.2 |
49.5 |
95.2 |
75.0 |
100 |
34.6 |
93.8 |
47.2 |
97.8 |
32.0 |
98.5 |
35~39才 |
23.5 |
85.7 |
40.4 |
100 |
62.6 |
98.0 |
39.2 |
93.0 |
42.4 |
94.3 |
14.1 |
93.9 |
40~49才 |
8.5 |
91.4 |
21.1 |
96.5 |
40.5 |
97.3 |
5.3 |
94.3 |
21.8 |
94.4 |
11.7 |
96.8 |
50才以上 |
1.2 |
57.5 |
7.4 |
84.6 |
16.1 |
84.9 |
6.6 |
75.2 |
42.0 |
90.8 |
7.0 |
80.0 |
計 |
28.7 |
87.3 |
45.1 |
95.0 |
57.4 |
94.0 |
37.7 |
91.3 |
50.1 |
97.0 |
23.2 |
93.5 |
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表2 昭和31年における自転車の持っている世帯の割合 |
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岩手 |
東京 |
愛知 |
京都 |
広島 |
福岡 |
持っている割合(%) |
63.2 |
53.3 |
81.7 |
69.9 |
81.7 |
46.4 |
女性用車の所有率(%) |
3.6 |
8.0 |
17.3 |
5.6 |
11.0 |
4.6 |
実用車の所有率(%) |
90.3 |
75.4 |
72.3 |
74.2 |
80.5 |
84.6 |
軽快車の所有率(%) |
2.4 |
5.7 |
2.0 |
5.0 |
1.3 |
3.1 |
スポーツ車の所有率(%) |
0.1 |
0.7 |
0.3 |
0.5 |
0.3 |
- |
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「昭和30年代における軽快車としての形式の特徴」
20代後半から30代の女性に乗りやすく使いやすい自転車の開発として、フレームはダイヤモンド型ではなく、また現在のママチャリの中心となっているダブルループ形・L形・U形とも異なるループ型(図1)を取り入れました。しかし、車輪径はほとんどが26インチで、24インチは稀でした。ハンドルは重心を低くするためにダイヤモンド形で主に使われているフラットハンドルではなく、アップハンドル(図2)を採用し、重さも4キロ前後の軽量化を実現させています。
また、購買欲を促すために、昭和20年代までのような単一デザインの車体で黒を中心とした寒色系の単色(写真1、写真2)から、車体デザインと色彩の多様化(写真5)(表3)を持たせる工夫を各社がこらすようになってきました。 |
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ナショナル
ビューティ(昭和33年) |
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丸石サンデー(昭和37年) |
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冨士フラウ号(昭和33年) |
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川村フラワー号(昭和38年) |
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写真5 車体デザインの多様化としてループ形の変形 |
表3 昭和30年代におけるフレームの形体別色数の推移(台数) |
昭和 |
30年 |
31年 |
32年 |
33年 |
34年 |
35年 |
36年 |
37年 |
38年 |
39年 |
ダイヤモンド型 1色 |
13 |
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13 |
8 |
7 |
8 |
8 |
8 |
6 |
ダイヤモンド型 2色 |
2 |
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1 |
1 |
2 |
2 |
4 |
4 |
3 |
ループ・スタッガード型 1色 |
5 |
1 |
|
3 |
1 |
5 |
1 |
4 |
1 |
2 |
ループ・スタッガード型 2色 |
1 |
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1 |
3 |
5 |
7 |
4 |
6 |
7 |
7 |
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昭和31年における女性の55~85%、主婦の70~80%が買い物用として利用しているという状況から、買い物用として前カゴの設置が昭和30年代に普及しました(写真6、写真7、写真8)昭和30年頃は大半が無設置でしたが、昭和32~33年頃からオプションで後から設置する自転車が増加し、昭和30年代後半には最初から設置して販売される場合も増えてきました。また、形状の改良も行われました。 |
前カゴの形状
最初から設置して販売するとき
30年代前半 本体に取り付けたキャリアに取り外しが可能なビニールバッグやビニールの網カゴの装着
30年代後半 車体にカゴ枠を取り付け、その中にバッグを入れる
オプション用
ビニールの網カゴをハンドルバーに直接装着するものが多数(写真4) |
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