9. 東京名所 上野公園内国勧業博覧会 楊斎延一画 明治22年

内国勧業博覧会は上野公園で3回開催されており、第2回は明治14年3月から4ヶ月間、第3回は明治23年4月から4ヶ月間であった。明治22年印刷とあるがこのときはまだ第3回は開催されていない。万国旗が掲揚されるなど、他の錦絵と比較すると全体の構図が第2回とは大きく異なり、第3回に類似している。
前輪が大きく後輪が小さいオーディナリーと呼ばれる現代の自転車が誕生する前の自転車が描かれているが、明治23年4月に発行された「東京名所 上野公園第三内国博覧会場略図」にも同じ自転車が描かれている。自転車を出展した山崎治兵衛(東京・京橋)か向山嘉代三(東京・浅草)のいずれかが会場前でデモンストレーションしたのだろう。
楊斎延一(明治5年〜昭和19年)は姓が渡辺、のち島田となり名は次郎。周延の門人で、明治20〜30年代に美人画、風俗画を多く描いたが、その後は肉筆画を専らとして、えんいちと呼んだ。